祖母は満95歳で逝去。
お別れの挨拶で司会者が「昭和12年に結婚し…」と読み上げたところで一同ざわざわし始めました。
「あれ?長女が昭和12年5月生まれだよね」
「ひょっとしてばあちゃん、出来ちゃった婚ってことっ?」
「えーっ、そんなことないでしょう」
「じゃあ原稿の書き間違い?」
「そりゃないよ、昭和12年に生まれた本人が書いたんだから」
もう全然司会者の話を聞いていません。
すると今度は「ガーデニングが大好きで毎年庭にきれいな花を咲かせ、また料理上手で美味しいごはんをたくさん作ってくれました」。
「はあ?ばあちゃんガーデニングなんかやってないでしょ」
「庭ないし」
「あ、でもフウセンカズラのタネは孫に配ってたよね」
「あれがガーデニングだったのか!」
「おばあちゃんの料理、黒豆煮しか食べたことないよ」
「あたし、紅茶は飲んだ」
「いや、紅茶好きでよく入れてくれたのはひいばあちゃんだよ」
「遊びに行くとよく鶏の頭を茹でてたよね」
「あぁ、あれは犬の餌。近所の肉屋で鶏の頭だけ安く譲ってもらってたらしいよ」
もうざわざわしっぱなし。
しかし、ここで突然私の父が号泣。母方の親類、誰も泣いてないのに、父だけ肩を震わせての号泣です。
泣き上戸だとは知ってたけど、まさかここでこんなに泣くとはねぇ。
* * * * *
久しぶりに親類の中では一番仲のいい叔父とゆっくり話しました。
「俺、あと三ヶ月で会社辞めるんだよ」
「へー、辞めてどうすんの」
「晴れて年金暮らしよ」
「えええ!もう年金貰うような年なの?」
「お前だって結構いい年だろが」
叔父は会社を辞めたら趣味に力を入れるそうです。
叔父の趣味はバイクと紙飛行機とカラス避け装置を作ること。
お土産に紙飛行機の試作品をくれました。