と、妹の誕生日と父の生還記念日。
妹の三歳の誕生日の前日、当時住んでいたアパートの大家さんの家に父の会社から電話がかかってきて、母は私と妹をお向かいさんに預けて御茶ノ水の病院に向かった。
仕事中にエレベーター事故に遭い、あちこちの病院をたらい回しにされた挙句、会社から遠い順天堂大学病院に搬送された。
しかし、たらい回しが父に幸いした。
順天堂大学病院の脳外科の先生に診てもらわなかったら、おそらく手遅れになっていたと思われる。
父は数箇所骨折し、額の左半分はプラスチックの骨が入っている。(本当にプラスチックかどうかはわからないけど、本人がプラスチックだと言い張るし、他の何かが入っていたところで「ふーん」としか言いようがないから40年以上たった今でも触れないようにしている)
両足にもボルトが入っているらしい。
まるで人造人間キカイダーだ。キカイダーも左頭部が透明のプラスチックで覆われているんだよ。そして電流火花が身体を走る。父もエレベーターが落ちた瞬間チカチカ星が見えたって言ってた。
一度は植物状態になった父が病院の手厚い看護で復活(というかもう諦めようと装着していた管を外したら自発呼吸を始め、意識も回復したというだけなんだけど) したのも、なんだかキカイダーっぽいな。