冬の烏。
映画の感想はさておき、原作の「天国に一番近い島」は中学生の頃に読みました。
同級生のIさんの家に遊びに行った時、何冊か森村桂の本があったので借りようとしたら「じつは私は森村桂の娘だったかもしれないのよ」という、よくわからない告白をされたのです。
「お父さんが独身だった頃に森村桂とお見合いをしたの」
「へー。でも森村桂と結婚したところでIさんは生まれないでしょう?」
「そうそう、そこななのよ」
「お父さんと森村桂が結婚しなかったから今のIさんがあるわけで」
「そうなんだけどね。あたし将来太ると思うのよ」
「あー、お母さんそっくりだもんね」
「森村桂がお母さんだったら太りはしないと思うのよ」
そんな会話を交わした私たちが40歳になった年、森村桂さんが亡くなった。
あの日もIさんのことを思い出し、映画を観てまた思い出したんでした。