今日の生活は踊る「スーさん、コレいいよ」のコーナーに伊東屋の万年筆担当の伊藤さんが登場。初心者にオススメの万年筆を教えてくれました。
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私の最初の万年筆は昭和48年の春におまわりさんから貰った「PARKER45」。
小学校から帰ったら大門公園で遊び、砂場で何か拾うと隣にあった交番に届けているうちにおまわりさんと仲良くなりました。
ブルドッグみたいな顔をしたちょっと怖いおまわりさんがいる日は「こんにちはー」と挨拶だけして、若いふたりのおまわりさんの日は交番の中に入って小学校でこんなことがあったとか公園にこんなものが落ちていたとか、いろんな話を聞いてもらいました。
ある日、若いおまわりさんから配属が変わって別の交番に移ることになったと聞かされ、どういうワケか自分でもわからないんですが涙が止まらなくなったんです。
犬のおまわりさん、困ってしまってわんわんわわーんわんわんわわーん。
じゃなくて。
でもおまわりさん、本当に困ったんでしょうね。「これあげるから泣かないで」と制服の胸に挿してあった万年筆を手渡してくれました。
小学三年生が使うには本格的な万年筆です。
名前も入っていたので、多分警察官になったお祝いで親御さんがプレゼントしたとか、そういった類のものでしょう。
でも小学三年生にはわからない。
初期の「PARKER45」なのでMADE IN U.S.A.の刻印も入っているし、クリップの下にあるはずの穴もありません。
今でも生産しているようですが、五十年近く前は結構高かったんじゃないかと。
でもそれも小学三年生にはわかりません。
インクが切れた後は新しいインクを買うこともなく筆箱にしまったままになっていたので今でも貰った時のまま。でも、きちんと掃除しておかなかったため、中のインクが固まってしまいました。
一晩ぬるま湯につけて、あとはPARKERのインクカートリッジを買うだけ。
昭和に生まれ、平成に眠り続けて令和。いい文字が書けますように。