実家から毎年恒例のさくらんぼが届いた。
二、三粒食べてみたけど、今年のさくらんぼは甘味が少ないのか、それとも私が食べたさくらんぼがたまたま甘くなかっただけなのか、いつもだったらひと粒食べたらもう止まらなくなって、夕方になって「届いてるならちゃんと電話しなさい」と母からお叱りの電話がかかってくるくらいなんだけど、いや、困ったな。せっかく送ってくれたのにあんまり甘くないなんて言えばガッカリするだろうし、かと言って甘いのに当たるまで食べる気にもなれない。
でも電話しないとまた心配するし、父の体調も気になる。
「あ、さくらんぼ届いた?どう?甘かった?」
「たまたま食べたのは少し甘みが少なかったみたい」
「山形に電話して食べ頃のを送ってって頼んだから甘いはずよ」
これ以上さくらんぼの話をすると喧嘩になりそうだったので父の体調を訊ねることにした。
通院しながら抗がん剤を服用していた父は先々週副作用で何も食べられなくなり、水を飲んだだけで下痢をし、散歩にも出かけられなくなったと母から聞いていた。
抗がん剤の服用をやめてから一週間。今日は朝から喫茶店に行ってコーヒーを飲み、近所をぐるっと散歩してきたそうだ。
やっと父に会いに行ける。
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さくらんぼとニワウメはこんなに違うの図。