2017年11月23日木曜日

第7回はじめての経験

『アルバイト』

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小学校の低学年の頃から内職を手伝ってお小遣いを貰っていたんだけど、外でアルバイトをしてお給料をもらったのは中学一年生のお正月が最初。

外と言っても実家の隣のお寿司屋さんなんですけど。

それまでもちょくちょく宴会が入った時には声がかかって、私は宴会の準備と片づけを手伝い、父は宴会の最後に出すうどんすきのうどんを納品し、母は宴会の間、お寿司屋さんの子供を家で預かって面倒をみて片づけが終わるとお寿司屋さんのおじさんがお寿司を握ってくれておばさんが子供を迎えに来るついでに我が家にお寿司を届けに来てくれるというシステムになっていました。

今の家に越してくるまで、我が家は小さな長屋に住んでいましたから、お隣さんが忙しい時は手があいてる人が手伝いに行くというのが習慣になっていました。

両親は会社で朝から晩まで働いてきて疲れていたはず。
それでも毎週のようにお隣さんに声をかけていたのは、実家とお隣さんが同じ時期に建て売り住宅を買って引っ越してきたせいもあるでしょう。

ある時、お寿司屋さんが夕方から夜までのアルバイトを募集することになったのです。本当は中のことをいろいろ分かっている私にアルバイトをと考えていたようですが、私はまだ中学生。アルバイトは禁止されています。

でも貼り紙をしてもなかなか応募がありません。
当時は景気が良かったから週末だけでなく平日も結構お客さんが来るし、出前もひきりなしに入ります。

外から見ていてもおじさんもおばさんもいっぱいいっぱいなのがわかったので、こりゃアルバイト禁止とか言ってる場合じゃないぞといつもの手伝いのつもりで声をかけたら、そのまま午前零時まで。

その時初めてバイト料を貰いました。
時給500円×8時間で4,000円。

いや、要らないって言ったんですよ。まだ14歳だし、お隣さんだし。

でも次のバイトが決まるまでお願いしたいって言うんで、まぁすぐに見つかるだろうと軽い気持ちでバイト料を貰ったんですが、結局中学三年間、月曜日をのぞく一週間アルバイトをすることになったんでした。

三年間バイト料は変わらなかったけど、常連さんがくれるチップで結構稼がせてもらいました。

お寿司屋さんでバイトしてよかったなぁと思うのはお燗のつけ方がうまくなったこと、海老の仕込みがうまくなったこと、洗い物が好きになったことかな。

辛かったのは納豆を刻むこと。
納豆巻きなんか注文すんじゃねーよ!と文句を言いながら息を止めて刻みましたが、どうしても耐えられず、それが理由でお寿司屋さんのバイトも妹にバトンタッチしました。


当時これが売ってたらもう少しお寿司屋さんのアルバイトを続けていられたのにってことでひきわり納豆の写真。

2011年1月13日掲載