視線を感じて窓の外を見ると土砂降りの中、キジバトと目が遭った。
ような気がしたけど、ガラス越しに何枚写真を撮っても首をかしげたり羽繕いして一向に逃げる気配がないので、たぶん私のことは見えていないんだろう。
土砂降りの中、歩いてちょっと遠くまで買い物に出かけた。
傘をさしていてもジーパンも靴もびしょ濡れだ。家に帰ったらすぐ洗濯するからびしょ濡れでかまわない。困るのは濡れた服ってどうしてこんなに痒くなるんだろう。子供の頃におしっこを漏らした時みたい。妙なことを思い出してしまった。
足元を気にせず歩いていたら堅いモノを踏んづけてしまった。
拾ってみると、ぬるっとした果肉がついていて、雨で流したらきれいな形をした実が出てきた。
手についた果肉のにおいをかいでみると、爽やかな柑橘系の香り。元の木を探そうにも雨が酷くて無理。
最近は実生栽培が出来るような環境ではなくなってきて、外でタネを見つけても家で蒔けないから拾わずにいた。
蒔く蒔かないは別として、この実が何の実なのか知りたくなりお持ち帰り。
初めて見るタネ。大きさは2.5センチ。堅い実は無臭。きっと果肉だけに香りの成分が含まれているんだろう。
「アーモンドみたいな実」で検索したら一発で榧(かや)の実と判明。
榧の実と知って懐かしいような気がしたけど、それは赤とんぼの一節「山の畑の桑の実を小籠に摘んだは幻か」のクワを一瞬カヤだったっけかな、と思っただけで、懐かしくもなんともなかった。