まだニフティでホームページを公開していた頃に『聖の青春』を読んで、どこかのタイミングで再読しようと本棚にしまって早24年。
作家の大崎善生さんが亡くなった。
他の著書は読む機会がなかったけど『聖の青春』は私にとって最高の一冊となりました。
* * * * * * * * * * SARUMATA!>活字中毒>2000年5月更新から転載
『聖(さとし)の青春』◆大崎善生◆講談社◆2000年3月24日第四刷発行
1週間かけてじっくり読みました。
本を読んでホロッとすることはあっても号泣なんてことは今までありませんでした。
将棋の世界の最高位「名人」をひたすら目指した村山聖の魂をこめた一生。
彼は平成10年8月8日にその生涯を閉じました。享年29歳。
子供の頃からの病気ネフローゼとの戦い。自分の命がそんなに長くはないと
知っていた彼は病に苦しみながらも情熱を将棋に注ぎ込みます。
ネフローゼから癌告知。
彼のひとつひとつの言葉が心にしみる。
家族との絆、師匠との愛を超えたなにか。
命のあるものにはいつか必ず終わりが来る。…でも。
生涯を閉じたその年の将棋年鑑のアンケートに彼はこう答える。
「今年の目標は?」
「土に還る」
「行ってみたい場所は?」
「宇宙以前」
真夜中、私は思いきり泣いた。
体が震え、涙が止まらない。
作者の大崎氏は「将棋世界」編集長。私の知らなかった世界を描いてくれた作者に感謝。それからこの本の存在を教えてくれた「本の雑誌5月号」の茶木則雄さんに感謝。
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