で、居間に置いてあった老眼鏡を取りに行って「眠れる美女」を読み始め、結局朝6時まで読んでいたんですけど、たった100ページ足らずの物語のうち30ページしか読めませんでした。老眼鏡前は速読というほどではないけど、仕事の帰りに本を買って電車の中で読み、布団の中で読めば分厚い小説でも翌日には感想文を書いてwebにアップしてたんですよね。今考えるとちゃんと本を読んでいなかったような気がします。
老眼鏡後は一文字一文字確認しながら読むようになって、物語の3分の1しか読み終わっていないのに物語の中に入り込んだような、物語が終わってしまうのが惜しいような、そんな気持ちになっています。
~【猿股!1999年11月の本棚】から転載~
ひっそりとした一軒家に眠っている女がいる。
そこに世間ではもうオトコとして扱われない老人たちが足繁く通う。
江口は知人に紹介され、女の元に通うことになる。
添い寝のひととき。女はただひたすら眠っている。
女を犯そうとしてみたり、女の美しさにうっとりしたり。
しかし、女は決して目を覚ますことはない。
クスリで眠らされている。目を覚ます前に老人は立ち去らなければならない。
女と添い寝して老人は過去を思い出す。
そして、自分の老いを知り、愕然とする。
感想。ひとことで言ったら「もっと早く読めばよかった。」
不思議な世界にのめりこみました。のめり込んだまま、帰ってこられなくなりそうで怖くなりました。
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三十代の私は「もっと早く読めばよかった」なんて思っていたんだなぁ。
六十代の私は主人公の江口と同世代になり、男と女で立場は違うし、時代も変わっているから「老人」とひと括りにされちゃうのはちょっと抵抗したくなるけど、江口の気持ちは前より深く理解できるようになりました。
あとひとつ。
表紙は平山郁夫。平山郁夫って言ったらあの平山郁夫ですよ、シルクロードの。ってそのくらいしか知らないけど。あとがきは三島由紀夫。「眠れる美女」は三島由紀夫の代筆ではないかという噂があるらしいけど、だったらあとがきであんなに絶賛するもんかねぇ。