2015年6月15日月曜日

井戸端会議

遠回りして買い物からの帰り道、近所のクリーニング屋のおばさんとバッタリ会って、しばし立ち話。

うちの近所にはいわゆるゴミ屋敷と呼ばれる家があって、何年か前にテレビの取材があり、家の中も外もきれいに片付けたんだけど、片付いていたのはほんの数ヶ月だけで、家主が自転車でいろんなモノを家に持ち帰って、瞬く間に元のゴミ屋敷に戻ってしまいました。

そこはここらへんの地主さんの息子が住んでいて、ゴミを出すのは自分の敷地内だけ。公共の道路には塵ひとつ落ちていないから 近隣住民は文句も言えません。

しかもゴミと言っても悪臭を放つ生ゴミの類ではなくて、家電製品や自転車、家具や生活用品ばかりだから始末が悪い。

さらにここに住んでいる住人はテレビで取材された時に私も初めて声を聞いたんだけど、ごくごく普通の人で、ゴミ屋敷に住む人によくある「これはゴミではない。自分の資産だから捨てられない」というような駄々もこねず、片づけが終わった後も丁寧にお礼を言っていた。

でも、数ヶ月たったある日の早朝、彼が自転車の荷台にソファを載せて家に向かうのを見つけて、やっぱり身近な誰かが止めないとダメなんだなぁと思っていたんだけど。

今日たまたまそのお宅の前を通ったら、ゴミがきれいに片付けられていて庭の土が見えてるではないですか。あれ?また取材が入ったのかなとよくよく見たらドアに「売家」の赤い札がかかっています。

とうとう売りに出されたんだ、住人はどうしたんだろう? と思いつつ、角を曲がったらちょうどそこに話好きのクリーニング屋のおばさんが通りがかって、全ての謎が解けました。

個人情報なのであまり詳しくは書けないんだけど、なかなか片付けない住人に痺れを切らした別居している家族が住人には内緒で業者に頼んでゴミを全部片付けて、家を競売にかけて売っちゃったらしい。で、住む家のなくなった住人は近所の養護老人ホームへ入居したんだと。

そんな話をしていたら突然おばさんが話をやめて固まった。

炎天下、長話をしていたから具合が悪くなったのかと思ったら「ほら、今自転車で通った人。あの人が勝手に家を売っちゃった人よ」って。

まだ自転車の人、すぐそこに居るのにー。

って言うか、通り過ぎずに自転車止めてんじゃん!噂話してたのバレちゃったんじゃないの?やだ、どうしよう。

慌てる私。話を続けるおばさん。

「だって、あの人の家、そこだもの」

えええ。勝手に家族の住む家を売っちゃった人の家の前でそんな話をしてたの?大丈夫なの?

「じゃあどこでこんな話をするのよ。うちに来てお茶飲みながら話すような話じゃないでしょ」

う、、うん。確かに。