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子供の頃に過ごした町は神社くらいにしか大きな木がなくて、どんぐりを拾える場所がありませんでした。ある日土手に向かう途中の空き地に椎の木が生えているのを見つけ、朝早く友達とラジオ体操に行くと嘘をついて椎の木公園(と勝手に名づけた)に潜り込み、木に登ってまだ落ちていない椎の実をポリポリ食べていました。
何度か通っているうちにどんぐりの季節も終わり、来年のどんぐりを楽しみにしていたのですが、一年後行ってみたら空き地も椎の木もなくなっていたのです。
父に聞いても母に聞いてもそんな公園は知らない、あそこに公園なんかあったっけ?と空き地の存在すら知らないと言います。一度連れていった妹は覚えているだろうと聞いてみようとしたのですが、妹はまだ小さくて木に登れず、私が木の上からどんぐりの殻を投げてからかっていたことを今思い出されてしまったら両親に怒られるんじゃないかと思って聞けませんでした。
でも確かに私はあの空き地で椎の木に登って椎の実を食べたんですよ。
まぁ空き地と言ってもバスケのコートくらいの広さで四方は金網で囲ってあって、地面は砂利。金網に沿って椎の木が目隠しをするように植えられていて自由に出出入りできるような感じではなかった。今思えばどこかの会社の敷地だったのかも。
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こないだオットに拾うのを手伝ってもらったんだけど、まさか食べるために拾わされているとは思っていなかったようで、私が炒ってポリポリ食べているのを見て思い切り引いてました。(食べたらまぁまぁ美味しいとは言ってた)