2020年3月22日日曜日

背中の大きい男

私とオットを引き合わせてくれた三十年来の友人が亡くなった。

夜中に酔っ払って商店街の看板を担いで我が家にやってきたり、パン屋の商品棚から普通にパンを手に取りその場で食べてしまって慌てて私がお金を払ったり、いつまでたってもガキみたいなヤツだったけど、高卒だった彼は三十歳目前で国立大学に合格し、鍼灸師の国家試験にも合格して熊谷の盲学校の教員となり、のちに札幌の盲学校の教頭になって間もなく結婚した相手がどこぞの男と駆け落ちして離婚。それでも数年後にとっても可愛らしい女性と結婚して幸せに暮らしていたところで病気が発覚。闘病中に昇任試験に合格して函館の盲学校の校長に就任するも病状が悪化し一年足らずで退任するという、まさに事実は小説より奇なりを地でいくような男だった。


ユースホステルのヘルパー時代、いっぱい写真を撮ったつもりでいたんだけど、彼と一緒に写っている写真はこの一枚しかなかった。