2020年8月19日水曜日

白い粉の記憶

幼稚園に通っていた頃の遊び場はカネヨ石鹸の工場でした。

私はカネヨ石鹸の工場の隣にあるアパートに住んでいたのですがが、工場の角に子供がやっと入れるような穴が開いていて、まぁ子供は穴があったら入りたい生き物ですから、幼なじみのみどりちゃんと一緒に中に入って遊んでいました。

穴の中には白い粉の山があって、私たちは山を掘ったり「雪、雪!」などと叫びながらばらまいたりしていたんですけど、数日後、近所のおばさんに見つかって早く出てきなさいと怒られて、それでも近所の人の目を盗んでは穴の中に入っていました。

ある日、いつものように穴に入ろうとすると、昨日まであったはずの穴がベニヤで塞がれているではないですか。

あとになって分かったことですが、白い粉はクレンザーの粉で、近所のおばさんたちはお椀で勝手にクレンザーの粉をすくって洗い物に使っていたのです。

おばさんたちは子供が遊んでいるのが会社にバレたら穴が塞がれてしまうのではと思っていたようですが、その前におばさんたちも粉を盗んでたんじゃないの?それがバレたから穴が塞がれちゃったんじゃないの?子供が洗剤にまみれて遊ぶことに関してはどうでもよかったってこと?

液体クレンザー「カネヨン」が発売されたのは昭和46年、私が小学校に上がった年。
そう考えるとあの穴の中はクレンザーの粉を保管していたのではなく、廃棄処分になる粉だったのではないでしょうか。どっちにしても体によくない遊びをしていたのは間違いないでしょう。


これは遊ぶつもりではなくシンクを磨くつもりで買ってきたカネヨン。